人工肛門で障害年金が受け取れる場合
1 人工肛門造設により障害年金受給できる場合があります
人工肛門を造設した方で、障害年金の所定の要件を満たす方は、障害年金の受給が認められます。
障害年金の受給を開始できる時期が通常と変わるという特例も含め、人工肛門造設で障害年金を申請する場合のポイントを、以下でご説明いたします。
2 人工肛門造設のみの場合、障害厚生年金でないと受給が難しい
障害年金の認定基準上、人工肛門造設は障害年金等級3級と定められています。
障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金の2つに分けられますが、障害基礎年金については、2級と1級の2つしか等級がありません(3級相当以下であれば不支給という結果になります。)。
基準上、2級以上の認定となる場合は、人工肛門の造設に加えて、新膀胱も造設した場合、尿路変更術を施した場合、完全排尿障害状態にある場合とされています。
また、人工肛門を造設する原因となった病気の症状の重さ等によっては2級に認定される可能性もあります。
そのため、人工肛門を造設したのみの場合、まずは障害厚生年金の申請ができるかどうかを確認していただくのがよいと思います。
3 人工肛門の障害厚生年金の申請とその他の要件
⑴ 初診日時点の年金加入について
障害厚生年金の申請ができるかどうかは、初診日(申請傷病に関して最初に医療機関を受診した日)時点で国民年金に加入しているか、厚生年金に加入しているかによって決まります。
端的に言えば、通常は会社員か否かということになります。
「初診日時点」ですので、申請時点では厚生年金に加入している必要はありません。
⑵ 年金保険料の未納がある場合について
もっとも、障害年金も年金制度であるため、年金保険料の未納が一定以上あると、保険料納付の要件を満たすことができず、障害年金の受給自体認められなくなってしまいます。
もっとも分かりやすい基準は、「初診日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないこと」ですが、障害厚生年金の申請をされる会社員等の方の場合、初診日の属する月の前々月まで1年以上会社員等であれば、給与天引きで未納がないことになります。
⑶ 人工肛門造設における障害認定日について
障害年金の申請は、原則として初診日から1年6か月経過した日を「障害認定日」とし、その日以降から申請できるものとされています。
これに対し、人工肛門造設の場合には、造設した日から6か月経過した日と初診日から1年6か月を経過した日のいずれか早い日が障害認定日となるため、造設の時期によっては、1年6か月を待たずして障害年金の申請ができる(早く受給が認められる)場合があります。
例えば、これまで通院歴がなく健康だった方が、突然倒れて救急車で運ばれその日に緊急手術で人工肛門を造設した場合(まずないと思いますが。)、初診日(かつ造設した日)が救急搬送された日となりますので、6か月経過した日時点から障害年金申請ができることになります。